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2019.2.27

小石川2丁目マンション建築確認取消裁決に対する取消訴訟についてのご報告

建築確認取消審査請求人
戸波江二

小石川2丁目マンションの建築に対する反対運動では、多大のご協力とご支援を賜り、誠にありがとうございます。私たちが訴訟参加した訴訟で、東京高裁でも勝訴しました。

●東京高裁判決――私たち訴訟参加人は高裁でも勝訴しました!!●
(判決)東京都建築審査会の建築確認取消裁決の取消しの訴え→控訴棄却
控訴人:マンション建築事業者(NIPPO/神鋼)、被控訴人:東京都
被控訴人参加人:東京都建築審査会への審査請求人9名のうち戸波江二
判決日:2018年12月19日
判決文:HP「小石川二丁目マンションの無秩序な開発・建築を考える会」
(http://koishikawa2.mansion.michikusa.jp)に掲載。


●東京高裁での審理と控訴審判決の概要●

控訴審での審理は、第1回期日に双方が弁論調書を提出し合い、即日結審となりました。控訴人代理人は次回の期日を求めたのですが、裁判官が結審を宣言したうえ、判決言渡し日を決めて終わりました。控訴審判決は、第1審判決を丁寧に点検してそれを是認するとともに、控訴人の主張に逐一論難しており、真に正当な判決でした。

このような優れた判決が下されたのは、第1審判決が論理的で明快な判決であったことと、農端先生の準備書面が的を射るものであり、さらに、建築審査会での建築確認機関と事業者の答弁が不合理であったことを農端先生が鋭く指摘していたこと、があります。


●事業者の上告とその見通し●

事業者は、昨年末に最高裁に上告しました。私たち訴訟参加人も上告審に意見書を提出することになります。


●東京高裁判決報告会のご案内●

今回の勝訴判決も皆様のご支援の賜物です。そこで、控訴審での審理および判決の概要、上告審での議論などについて、以下の要領にて報告会を開催いたします。


〇日時:2019年3月10日(日)10時〜12時
〇会場:礫川地域活動センター2階多目的室A
〇報告者:戸波江二(訴訟参加人)、日置雅晴・農端康輔(代理人弁護士)
〇議題:(1) 堀坂訴訟のこれまでの経過
(2) 東京高裁判決の概要の報告
(3) 事業者による上告理由の検討、上告審への取組みと展望
(4) 今後の反対運動の取組み


●これまでの紛争の経過●

小石川2丁目マンション反対運動は、2004年から数えて15年になります。

2003事業者(NIPPO/神鋼)が係争地を都市基盤整備公団(現UR)から購入。
2004.8事業者が清水建設設計による建築確認を取得。 【反対運動@→審査請求】
2005.6東京都建築審査会が建築確認を取消し。建築計画は振り出しへ。
2008-9事業者が開発許可申請、文京区長が許可(09.3) 【運動A説明会での質疑】
2009-13開発許可取消訴訟(審査請求→1審→控訴審→上告審)。  【運動B訴訟】
2011.7-8事業者と「堀坂と近隣の安心・安全をまもる会」との斡旋→終了【運動C】
2012.7都市居住評価センター(処分庁)が建築確認。 【運動D審査請求】
2012.9堀坂一方通行解除反対署名、陳情書(650名) 【運動E反対署名】
2012.9近隣住民9名、建築確認の取消しを求めて東京都建築審査会に審査請求。
2012.10開発許可取消訴訟東京地裁判決(請求棄却)、文京区長の開発変更許可処分あり。
2014.3マンション区域に文京区都市計画決定で22m絶対高さ制限が告示・施行。
2014.11-15.4ル・サンク小石川後楽園販売開始し、107戸完売。
2015.11東京都建築審査会、建築確認取消の裁決。
2016.5事業者が建築確認取消裁決取消訴訟を東京地裁に提起(被告は東京都)。
2017.2取消訴訟(東京地裁)に審査請求人のうち戸波が訴訟参加。【運動F訴訟参加】
2018.5東京地裁判決、原告(事業者)の請求棄却。
2018.6原告(NIPPO/神鋼)が東京高裁に控訴。
2018.10控訴審第1回期日。1回で結審。
2018.12控訴審判決、控訴人(事業者)の控訴棄却。
2018.12控訴人(NIPPO/神鋼)が最高裁に上告。


●最大のポイントは2015年11月2日の東京都建築審査会による建築確認の取消裁決●

2012年9月28日に近隣住民9名(東西南北の居住者)が審査請求人となり、日置雅晴、農端康輔の両弁護士先生に代理人をお願いして、指定確認検査機関都市居住評価センターの行った建築確認の取り消しを求めて、東京都建築審査会に審査請求しました。

審査は3年半に及び、私たち審査請求人はマンションの欠陥を多数主張しました。この間、文京区では高さ制限が施行されて2丁目マンションは既存不適格となり、また、事業者は完成を急ぎながらマンションを販売し、半年で107戸完売となっていました。

東京都建築審査会の建築確認取消裁決により、95%完成していたマンション建築は工事中断となり、事業者は107戸すべて契約解除しました。大きなニュースになりました。


●東京地裁判決もまた、事業者の請求棄却――訴訟参加人として参加した私たちの勝訴●

その後、事業者(NIPPO/神鋼)は、東京都を被告として、建築確認取消裁決の取消しを求めて東京地裁に提訴しました。そこで、建築確認審査請求人9人のうち戸波を訴訟参加人として日置先生、農端先生の代理の下で、訴訟参加しました。

訴訟では、マンション1階の駐車場からの出入口は避難経路かどうかが争われ、判決は、1階駐車場の出入口の自動車の通路は高低差2.5mもあって避難経路とはいえないと論じ、東京都建築審査会の建築確認取消裁決を支持しました。









最高裁判所は2019年8月16日、建築主(NIPPO/神鋼不動産)の上告を棄却する決定を行いました。

日経 xTECH(2023年10月13日)
「約8年塩漬けの『ル・サンク小石川後楽園』建て替えへ、NIPPOは集合住宅を想定」に掲載されました。 →こちらをご覧ください。

毎日新聞(2023年8月25日) New!
「8年間事業中断のマンション、取り壊しへ 『放置できない』」に掲載されました。 →こちらをご覧ください。

日経 xTECH(2019年12月26日)
「写真で見る 10大ニュース2019 風水害・火災が相次いだ 令和時代の幕開け」に掲載されました。 →こちらをご覧ください。

FACTA ONLINE(2019年10月19日)
「最高裁で敗訴でもNIPPO『都にがぶり寄り』 強引な億ション建設をめぐり、敗訴が確定したのに、またもや無理筋裁判を始めたのはなぜか。」に掲載されました。 →こちらをご覧ください。

KKベストセラーズ クソ物件オブザイヤー(2019年10月12日)
「全戸完売! なのに塩漬け…ル・サンク小石川後楽園」に掲載されました。 →こちらをご覧ください。

週刊現代(2019年10月7日)
「東京土地物語/後楽園 ― 無人の『新築億ション』が打ち捨てられるまで」に掲載されました。 →こちらをご覧ください。

日経 xTECH(2019年10月3日)
「NIPPOが確認検査機関に107億円の賠償請求、小石川マンション訴訟」に掲載されました。 →こちらをご覧ください。

「建築ジャーナル 2019年10月号」(ISSN 1343-3849)に掲載されました。
詳しくは、建築ジャーナル(052-971-7477)にお尋ねください。

日経 xTECH(2019年8月29日)
「完売マンションの建築確認取り消し訴訟、建築主の敗訴が確定」に掲載されました。 →こちらをご覧ください。

日本経済新聞(2019年8月19日)
「マンション建築確認取り消し 建築主敗訴が確定」に掲載されました。 →こちらをご覧ください。

時事通信(2019年8月19日)
「建築確認取り消し確定=完成直前マンション−最高裁」に掲載されました。 →こちらをご覧ください。

日経 xTECH(2019年5月23日)
「完売マンション訴訟が第2幕へ、NIPPOが都に50億円超の賠償求めて提訴」に掲載されました。 →こちらをご覧ください。

FACTA ONLINE(2019年1月19日)
「『塩漬け億ション』ゴリ押しの勝算」に掲載されました。 →こちらをご覧ください。


東京高等裁判所は2018年12月19日、建築主(NIPPO/神鋼不動産)の控訴を棄却する判決を行いました。

TKCローライブラリー(2019年1月22日)
「注目の判例」(LEX/DB25561882)に掲載されました。 →こちらをご覧ください。

日経 xTECH(2019年1月18日)
「完売マンションの建築確認取り消し、建築主の控訴を棄却」に掲載されました。 →こちらをご覧ください。

建設通信新聞(2018年12月20日)
「建築変更確認取消請求控訴は棄却/小石川のマンション」に掲載されました。 →こちらをご覧ください。

東京建築士会 ニュース(2018年10月24日)
「『2018年9月号 法規メールマガジン』コラムの記事内容について」に掲載されました。 →こちらをご覧ください。

東京都都市整備局(2018年10月15日)
「東京都建築安全条例第19条の運用の明確化について(技術的助言)」を東京都内の特定行政庁に通知しました。 →こちらをご覧ください。

東京建築士会 建築東京(2018年10月10日)
小田圭吾理事の「法規コラム」に掲載されました。 →こちらをご覧ください。


東京地方裁判所は2018年5月24日、建築確認取り消しを認める判決を行いました。

ジュリスト臨時増刊 平成30年度重要判例解説 30頁(2019年4月9日)
「行政法 判例の動き」に掲載されました。 →こちらをご覧ください。

判例地方自治 444号 87頁(2019年4月2日)
「原告らが建築主となって建築するマンションの建築計画についてされた建築計画変更確認処分を東京都建築審査会が条例違反の違法があるなどとして取り消す旨の裁決をしたことに関し、原告らが裁決の取消しを求めた訴訟において、マンションの建築計画には条例に違反する違法があり、裁決は適法であるとして、請求が棄却された事例〔東京地平成30年5月24日判決〕」に掲載されました。 →こちらをご覧ください。

判例タイムズ 1457号 142頁(2019年3月25日)
「共同住宅に設けられた自動車車庫が,『直接地上へ通ずる出入口のある階』(建築基準法施行令13条1号)に設けられているとはいえず,自動車車庫部分に『避難階段』(同施行令123条参照)が設置されていないため,東京都建築安全条例32条6号に違反するとされた事例(東京地裁平30.5.24判決)」に掲載されました。 →こちらをご覧ください。

判例時報 2388号 3頁(2019年1月21日)
「共同住宅に設けられた自動車車庫が、『直接地上へ通ずる出入口のある階』(建築基準法施行令13条1号)に設けられているとはいえず、自動車車庫部分に『避難階段』(同施行令123条参照)が設置されていないため、東京都建築安全条例32条6号に違反するとされた事例(東京地判平30・5・24)」に掲載されました。 →こちらをご覧ください。

日経 xTECH(2018年9月12日)
「完成直前の確認取り消しは覆らず 申請時に重視すべき解釈ミスのリスク」に掲載されました。 →こちらをご覧ください。

新・判例解説Watch(2018年8月24日)
「建築計画変更確認処分を取り消した建築審査会による裁決の適法性」に掲載されました。 →こちらをご覧ください。

TKCローライブラリー(2018年6月12日)
「注目の判例」(LEX/DB25560274)に掲載されました。 →こちらをご覧ください。

日経 xTECH(2018年6月1日)
「確認取り消しマンションで地裁判決、『都の判断に誤りなし』」に掲載されました。 →こちらをご覧ください。

毎日新聞(2018年5月24日)
「文京・マンション 建築確認白紙の裁決『判断に誤りなし』」に掲載されました。 →こちらをご覧ください。

時事通信(2018年5月24日)
「建築確認取り消し認める=竣工直前の高級マンション ― 東京地裁」に掲載されました。 →こちらをご覧ください。

日本経済新聞(2018年5月24日)
「マンションの建築確認取り消しめぐる訴訟 建築主が敗訴」に掲載されました。 →こちらをご覧ください。

早稻田法學(2017年10月30日)
「建築確認処分を取り消した裁決の取消訴訟において、補助参加および行訴法上の訴訟参加を認めた2件の決定」に掲載されました。 →こちらをご覧ください。

法学セミナー(2017年5月9日)
「取消訴訟における裁決の適法違法判断が国賠訴訟の補助参加の利益根拠となるか」に掲載されました。 →こちらをご覧ください。

TKCローライブラリー(2017年2月28日)
「注目の判例」(LEX/DB25544865)に掲載されました。 →こちらをご覧ください。


東京都建築審査会は2015年11月2日付で、建築確認を取り消す裁決を行いました。

東京都建築審査会 口頭審査議事録(第1254回)は、東京都庁で公表されています。 →こちらをご覧ください。
詳しくは、東京都建築審査会事務局(03-5388-3334)、もしくは、都民情報ルーム(03-5388-2275)にお尋ねください。

比較法学(2017年6月1日)
「『採光権』についての一考察」で紹介されました。 →こちらをご覧ください。

日本不動産学会誌(2017年3月28日)
「建築確認をめぐる諸問題と今後のあり方」に掲載されました。 →こちらをご覧ください。

毎日新聞(2016年6月28日)
「東京・小石川のマンション 完成直前に都『建築不許可』」に掲載されました。 →こちらをご覧ください。

朝日新聞(2016年5月28日)
「マンション開発 紛争予防制度を 文京の住民団体が請願」に掲載されました。

東京新聞(2016年5月28日)
「マンション建設 事前3者協議 制度に」に掲載されました。 →こちらをご覧ください。

建築基本法制定準備会ニューズレター(2016年4月21日)
「シンポジウム報告『分譲マンションに求められる法制度と具体策』」に掲載されました。 →こちらをご覧ください。

日本経済新聞(2016年3月30日)
「マンション紛争、文京区で多発 住民と事業者、景観・安全巡り 完成間近で中断/反対運動」に掲載されました。 →こちらをご覧ください。

日本経済新聞(2016年2月19日)
「問題は『避難階』 建築確認取り消しの完売マンション」に掲載されました。 →こちらをご覧ください。

フジテレビ「みんなのニュース」(2016年2月11日)
「『妻は半狂乱』億ション契約解除で怒号」で放送されました。 →こちらをご覧ください。

Yahoo!ニュース(2016年2月11日)
「マンション違約金 課税に怒り」に掲載されました。 →こちらをご覧ください。

独立系メディア E-wave Tokyo 青山貞一・池田こみち(2016年2月5日)
「特集:UR跡地巨大マンション完売後に『建築確認取消』の前代未聞!」に掲載されました。 →こちらをご覧ください。

テレビ朝日系列「羽鳥慎一モーニングショー」(2016年2月3日)
「『詐欺だ!』購入者激怒! 人気マンションは“違法建築”」で放送されました。 →こちらをご覧ください。

テレビ東京系列「ニュースアンサー」(2016年2月1日)
「追及第3弾! “違法”マンション…立ち上がる購入者」で放送されました。 →こちらをご覧ください。

フライデー(2016年1月8日)
「三菱地所レジデンス億ションが引き渡し2ヵ月前『突然建設中止!』で住民激怒」に掲載されました。 →こちらをご覧ください。

フジテレビ「みんなのニュース」(2015年12月23日)
「建築確認したのに住めない…潜む問題」で放送されました。

テレビ東京系列「ニュースアンサー」(2015年12月23日)
「追及!違法マンション 契約ドタキャン 立ち上がる購入者」で放送されました。 →こちらをご覧ください。

日経BP ケンプラッツ(2015年12月2日)
「完売マンションの建築確認を取り消し 東京都建築審査会が1階を『避難階』と認めず」に掲載されました。
アクセスランキング年間3位!
無料でアクセスできます。 →こちらをご覧ください。

Yahoo!ニュース(2015年12月7日)
「東京都内の高級マンションが入居直前になって契約解除され、購入者の怒り爆発」に掲載されました。 →こちらをご覧ください。

フジテレビ「みんなのニュース」(2015年12月7日)
「追跡マンション不安 入居寸前に契約解除、購入者が激怒です」で放送されました。 →こちらをご覧ください。

Yahoo!不動産おうちマガジン(2015年12月6日)
「住宅購入者が『大手志向』へと傾注する3つの理由」に掲載されました。 →こちらをご覧ください。

テレビ東京系列「ニュースアンサー」(2015年11月30日)
「発覚!違法建築マンション・入居間近…購入者怒り」で放送されました。 →こちらをご覧ください。

「建築ジャーナル 2015年12月号」(ISSN 1343-3849)に掲載されました。
詳しくは、建築ジャーナル(052-971-7477)にお尋ねください。

「景住ネットNEWS」(2015年11月28日)に掲載されました。 →こちらをご覧ください。
詳しくは、景観と住環境を考える全国ネットワーク事務局(03-5228-0499)にお尋ねください。

朝日新聞(2015年11月14日)
「完成直前のマンション、建築確認取り消し 東京・文京」に掲載されました。 →こちらをご覧ください。

東京新聞(2015年11月14日)
「文京のマンション 建築確認取り消し 近隣住民が『基準法違反』で審査請求」に掲載されました。 →こちらをご覧ください。

マンション・チラシの定点観測(2015年10月9日)
「建築審査会が執行停止決定!竣工間際のマンション」に掲載されました。 →こちらをご覧ください。

Law and Practice 第6号(ISSN 1883-8529)
「近隣住民による開発許可取消訴訟における審理判断のあり方について」の論説で、
2011年6月6日の意見陳述書(全文)が掲載されています。 →こちらをご覧ください。

判例地方自治(373号97頁)に
小石川二丁目マンションの開発許可取消訴訟が取り上げられています。



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